:: BACK ::

読売新聞 79年2月11日 ヤング・ミュージック

興奮呼ぶ衣装や照明 ―「クイーン」4月に初の全国ツアー

クイーンの4月来日が決まった。ファン待望のビッグ・イベントである。日本でのコンサートは3回目だが、今回は初の全国ツアー(15回)で、全回にも増してショー・アップされたステージが予定されており、興奮を呼ぶに違いない。

クイーンの人気を分析してみるとおもしろい。ファンが3つのタイプに分類されるからだ。

まずロックン・ロール・ファン。例えば「シアー・ハート・アタック」とか「炎のロックン・ロール」など、彼らのハードなブリティッシュ・ロックを好きだというヤング。

二番目はアイドルとして彼らにあこがれるファンだ。日本で最も人気のあるのはドラマーのロジャー・テイラー。ブルー・グリーンのヒトミを持ち、いかにもロック・スターらしい。続いてギタリストのブライアン・メイとボーカリストでピアニストのフレディ・マーキュリーが並ぶ。2人の個性は対照的で、ブライアンがまじめな "ロック青年" の印象を与えるのに対し、フレディはギンギラ衣装のハデハデ派。もう一人、ベースのジョン・ディーコンは他の3人と比較にならないほど地味な個性を持つ。☆「比較にならないほど」って…そこまで大層に言わなくても(泣)

三番目の人気の要素は、彼らの持つクラシックの味へのあこがれだ。その味は「ボヘミアン・ラプソディー」と最新盤「バイシクル・レース」に表現されている。リズムを何種かのバラエティーに富ませ、クラシック音楽的な無伴奏コーラスなど、そこには限りないロマンと品格が感じられる。落ち着いた響きを持つこの種の曲のファンもかなり多いが、ロックンロール派に言わせると「ああいう曲はつまらないのよ」。

ともかくも、ミュージック・ライフ誌の人気投票ではグループ部門で1位、ギタリスト、ドラマー、ボーカル各部門でもメンバーがそれぞれ1位にランクされ(ジョンだけは例外☆ほっといたれよ )、その人気のほどがうかがえる。

さて彼らのステージ――「日本ツアーもこれと同じスタイルで」(ブライアンの話)という全米コンサートを昨年末に見たが、実に見事にショー・アップされていた。

スモークが舞台をおおう中でのオープニングは、ロックンロールに編曲し直した「ウィー・ウィル・ロック・ユー」。これをかなりハードでドラマチックに聴かせ、前半は「バイシクル・レース」「キラー・クイーン」「愛にすべてを」「シアー――」など。真ん中にアコースティック・ギター伴奏による「ラブ・オブ・マイ・ライフ」などをはさんで、後半は「ブライトン・ロック」「炎の――」「ボヘミアン――」、そしてアンコールは再び「ウィー・ウィル――」。最後に「伝説のチャンピオン」を、という23曲、1時間構成。

例によってフレディはキラキラ衣装。黒のエナメル、赤のスパンコール、銀のスパンコールと3回変えるのも興奮を呼ぶ。

途中で天井から小ステージがエレベーター式に降りて来て、その上で演奏するというのが最大の呼びものだが、来日公演でこのセットができるかどうか、いま検討中だという。照明は赤、ピンク、緑、ブルーと強烈極彩色。ライトの数は500個を超えており、これも見もの。

来日は75、76年に続き3年ぶり。招へいは渡辺エンタープライズ。公演は4月13、14、23、24日の東京・日本武道館ほか。

(寺村 敏記者)


オーソドックスな記事ではあるが、「わざわざ人気のなさを強調せんでもええがな!」な記述に突っ込まずにはいられなかったのでつい(^^;)


:: BACK ::