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Rock Show 78年

(78年10月31日、ニュー・オーリンズでの記者会見記)

誌上完全再現/これが記者会見の一問一答だ!


――クイーンはツアーを必要とするバンドでしょうか?

Queen(以下Q):もちろん!そしてものすごく演奏しているバンドだね。

――(そのことについて)何か問題は起こりませんか?たとえば費用がかさむとか…メンバー同志でそのことを話し合うことは?

Q:話し合いはしたけれど、一番大切なのは、何をやりたいかってことなんだ。だからお金の問題なんて二の次だよ。

――ツアーの費用を安くする工夫は?

Q:工夫しようにも、かせいだお金と同じくらいのお金をツアーにつぎこむから、結局いつも差し引きゼロさ。今度は1年くらいの長期ツアーに出るんだ。今までで最も長いツアーになるね。何年か前のワールド・ツアーだって6ヵ月しかなかったから。

――イギリスでのコンサートは、いつ頃行いたいと思いますか?

Q:ぜひ79年夏にはやりたいね。

――その場所としてはどこを希望していますか?

Q:ウインブルドンのセントラル・テニス・コート!

――テニス・コートですか?(笑)

Q:そう。あそこのサウンド効果はバツグンだよ。

――あそこは1万5千人は収容できる場所ですよ。

Q:キング夫人は僕らをサポートしてくれないだろうなあ(笑)実は、南イギリスには問題があるんだ。つまり僕らのようなタイプのバンドがコンサートできる場所がなくてね。世界各地で同じようなコンサートをやりたいと思うのに会場は少なかったり、ちいさかったりなんだ。

――きのうのコンサートはとてもファンタスティックでしたね。

Q:その後のパーティーも楽しんでくれた?

――もちろん。あなたたちも楽しめましたか?(笑)今度のアルバムは「ジャズ」というタイトルですが、何か意味があるのですか?

Q:いや、それは、曲の中にはジャズのパッセージも入っているけど、僕らの音楽にはカントリーとかウエスタンとかいろんなものがミックスされているだろう?ただ、その中のひとつだと思ってもらえればいい。

――ジョン、そのヘヤー・スタイルはどうしたのですか?

Q:(ジョンはニヤニヤするだけで答えず)
    ☆聞かれすぎてうんざりしているのか、すでに酔いが廻っているのか。(ちなみに「そのヘヤー・スタイル」とは「久米さん」である)

――ベーシックなロックン・ロール・アルバムなのに、どうして「ジャズ」とつけたのですか?

Q:ベーシックなロックン・ロール・アルバムと言ったつもりはないのに、どうしてそう聞くんだい?

――では、なぜクイーンのアルバム・タイトルは「ジャズ」というのですか?

Q:それは別の意味も含まれているんだ。音楽性とは関係なく、”ごきげんなアルバム”といった感じで受け取ってほしい。ちょうど”ジャズ”という曲もかいたしね。このアルバムにはいろんなアイディアとかインスピレーションがつめこまれているから、聞けば聞くほどおもしろくなってくると思うよ。モンタレー・ジャズ・フェスティバルが行われた間に、その場所で半分ほどレコーディングして、残りはニースで仕上げたんだけど、レコーディングの間中、モンタレーはジャズ一色だった。そういった状況もこのタイトルに影響しているはずさ。

(ロジャー)僕はこのアルバムで、バディ・リッチやマックス・ローチのように、ジャズ・ドラマーみたいなドラミングをしているんだ。ジャズ・フェスティバルで彼らを観て、すっごくエキサイトしてしまった。ロック・ドラマーではやはりジョン・ボーナムが大好きだけどね。

――スペインでコンサートをする予定はありますか?

Q:2月に、バルセロナとマドリードでやるつもりだよ。スペインは、もう4年も行ってないからぜひ行きたいな。クリスマス前に今回のツアーは終了するんだ。そしたら2、3日イギリスで休養して、1ヵ月か1ヵ月半ほどヨーロッパ・ツアーに入り、そのあと4月頃日本へ行くよ、まだ決定じゃないけど。

――アルゼンチンやブラジルでコンサートをする予定はありますか?

Q:もちろんさ。まだ南アメリカには行ったことがないからね。

――新しいアルバムについて何か…。

Q:一度(自分達で?)ヌードで自転車レースをして新聞にデカデカと載せてもらおうかな、なんて思っているんだ(笑)(☆自分達でやっていたらそれはそれですごそうである。ちょっと見たかったかも)チープ・パブリシティ・スターだ!そのアルバムをジャケットにつけるのもいいね。ジャケットに入れておくと、それだけを持ってかれちゃうから、買ってくれた人にだけ、あとで送ってあげるとかね。

――ゴスペル・ソングからなにか影響を受けましたか?

Q:(フレディ)うん。アレサ・フランクリンなどからね。”アメイジング・グレイス”なんて曲は、誰でも好きになると思うよ。

――なぜ一曲だけ外でレコーディングしたんですか?

Q:つまりは雰囲気を変えたかったんだ。その時、外は霧が出てくごくいいムードだったんだ。
    ☆どの曲のこと??

――ツアーの最中に曲を作るのをどう思いますか?

Q:僕達はツアー中には曲はかかないんだ。マテリアルとかアイディアだったら、いろいろと考えるけどね。たとえば”バイシクル・レース”にしても、ツアーのあとにニースに入ってから仕上げたんだ。数日かかったけどね。

――アルゼンチンのテレビに今、初めてクイーンが放映されているのですが、カメラに向かってひとりひとり、何か話してください。

Q:(ジョン)ジョンはとてもまじめで、ソウルやディスコ・サウンドが好きな青年です。
    ☆…やはり相当酔っているのかもしれない。

Q:(ロジャー)僕、パスして! (笑)さあ、次の質問いってみよう!

――誰か新しいメンバーを加えようと思ったことはありますか?

Q:そう、考えたこともあったけど、(☆あったのか…)せっかく4人のバランスがくずれてしまってはなんにもならないし、このメンバーでやるのがベストだと思うんだ。

――コンサートの時間をもっと長くしようとは思いませんか?

Q:そうしたいのは山々だけど、きみもあのライトの多さを見ただろう?あれ以上演奏していると、卵だってヒナにかえっちゃうよ(笑)すっごく暑いんだ。

――フレディ!以前よりもピアノのパートが多くなったようだけど…。

Q:僕ももう年だからね(笑)

――今までのアルバムと、ニュー・アルバムを比べてみてどうですか?

Q:前のアルバムはいろんな要素がミックスされていたけど、今度のは違うんだ。でも、僕達は自分のアルバムを聞き比べるのは好きじゃないんだ。それは聞き手にまかせるよ。

――「解散」についてひとこと!

Q:僕らは4人とも、本当にいい意味で独立し合っている。独立した4人がグループ活動を組んでいる、と言えばいいのかな。だから、それぞれソロ活動や他のミュージシャンのプロデュースをやったりするけど、それが解散につながりはしないんだ。

――またロイ・トーマス・ベイカーと一緒に仕事をしていますね。

Q:うん、他のグループの中には、プロデューサーとけんか別れするケースが多いらしいけど、僕らがいったんロイと離れたのはそんな理由じゃなかったからね。

――ロイはいくつかのアメリカのバンドもプロデュースしていましたが、イギリスのバンドの方がやりやすいですか?

Q:(ロイ)(☆君もおったんかい)イギリスのバンドを手掛けようとしたんだけど、アメリカのバンドの持っているイギリス的なサウンドにひかれてしまったんだ。ニュー・ウェイヴ派なんか特にね。

(ロジャー)あちこち渡り歩いて、ここにすごくいいバンドがいるってことがわかったのさ!(笑)

――今度のシングル・レコードについて何か教えてください。

Q:”バイシクル・レース”と”ファット・ボトムド・ガールズ”の2曲なんだ。ジャケットには、ラジカルな写真が載っているよ。

――アメリカとイギリスの観衆の違いは、何かありますか? その場合、違ったショウ・アップを考えていますか?

Q:アメリカの観衆はみんなすぐにのってくれて、手拍子をとってくれたりする。みんなが、コンサートを楽しもう!って心から思っているみたいだね。イギリスの場合は比較的おとなしくて、理屈をつけたがるみたいだ。ジッと観てて、アッ、あそこをまちがえた、なんて言われそうな気がする。

――なぜコンサート・プログラムに、「クイーンII」からの曲がなかったんですか?

Q:たくさんの曲があるので、あのアルバムから選曲したとしても時間的に無理だったんだ。

――昨夜、ニュー・オーリンズのファンのために何か曲を作ってくれましたか?

Q:いや、曲は作れなかったけど、アルバムに入っている”ドリーマーズ・ボール”って曲を捧げます。アルバムとライヴでは、この曲はずいぶん感じが違っただろう?ニュー・オーリンズの雰囲気に影響されてしまったみたいだ。コンサートでは、ニュー・アルバムから特に好きな曲を4曲演奏したんだ。観客に批評してもらおうと思ってね。

――ロジャー、あなたはまたソロ活動をしたいと思いますか?

Q:それは忙しくてできないね。それに今の状態に満足しているしね。

――フレディ、あなたはライヴ・アルバムを作る気はないのですか?

Q:あるよ。ワールド・ツアーのライヴというのを作ってみたいね。来年には製作に取り掛かりたいんだ。でも僕達は、ライヴとレコードがかなり違っているので、難しいだろうな。

――2枚組のアルバムを作ってみたいと思いますか?

Q:考えてはいるけど、2枚分のマテリアルがないし、ちょっと手にあまるんじゃないかな。今度のアルバムの原価は、8ドル98セントなんだけど、マーケットに出るともっと高くなる。その分、こちらがもうかればいいけど、アメリカに来たりイギリスに帰ったりしてるうちになくなってしまうよ。

――ジョン、パンクをどう思う?

Q:いくつか好きなバンドはあるけど、あとはどっちもどっちだなあ。でもいいバンドというのは、着実にのしあがってきているね。

――フレディ、ライフ・スタイルを変えたのですか?

Q:以前はお金をかせぐことを考えていたけど、今は浪費ばかりするようになってしまったよ(笑)

――あなたはセックス・ライフに生きがいを求めているなどと言っていたじゃないですか?

Q:いいや、もう年だもの。

――フレディ、以前にバレエを習ったことがあるのですか?

Q:いや、バレエは好きだけど練習したことはないよ。

(ここまでしかコピーがないのでおしまい)


回答を「Q」としているので、一部を除き誰が何を語っているのか分からないところが残念だが、ジョンはただ黙ってヘラヘラと笑っていた可能性が高い。


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