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MUSIC LIFE 74年9月号

僕らはすでにクイーン・サウンドを確立した!

イギリスもアメリカに負けず劣らずニュー・グループの輩出が激しいが、その中でも最も有望で大型グループの兆しを覗かせているのが、このクイーンである。残念ながらギタリストのブライアン・メイは病気で自宅療養中で、マーキー・クラブのすぐ近くにあるトライデント・スタジオでリハーサル中だったフレディ・マーキュリー、ロジャー・テイラー、ディーコン・ジョンの3人に、6月13日の午後会見した。3人共、若々しくハツラツとした好青年で音楽に真剣なのは勿論のこと、知的な面も同時に言葉の端々から伺えた。


Q:あなた達の個人的な音楽経歴を教えて下さい。

ディーコン:僕は12歳の時レスターで学校に通っていた頃から、いろんなアマチュアのグループで演奏していたんです。18歳の時ロンドンの大学に入学して、ロンドンでもいろんな友達にめぐり逢ったけど、プロのグループではクイーンが初めてなんです。僕はクイーンが結成されて半年後にグループに入りました。楽器は6弦ギターから始めて、14か15歳のときにベースに変えたけど、全くの独学で覚えました。

フレディ:僕はボーディング・スクールに通っていたとき、クラシック・ピアノを習いました。そしてロンドンに渡って、大学でグラフィック・デザインを学んでいた時にブライアンやロジャーと知り合ったんです。その頃ブライアンとロジャーは”スマイル”というグループのメンバーとして活動していて、僕の方は”サワー・ミルク・シー”というグループにいたんです。グループは違っても3人共すぐに意気投合して、共同でアパートを借りて一緒に生活していました。ある日スマイルが解散したので、僕達3人は一緒に組んでグループを作ろうということになったんです。それがクイーンの生まれるきっかけになった訳です。

ロジャー:僕がドラムを始めたのは12歳のときで、14歳になると学校の友達をセミ・プロのグループを作ってよく演奏したものでした。それからロンドンの大学に入ってブライアンと知り合ってスマイルを結成したんです。最初は大学に入って歯科医になろうと思ったんだけど、いつのまにかこうなってしまって。

Q:クイーンを結成した頃は苦労が多かったでしょうね。

フレディ:まあ、ある程度はね。でも僕等は自分達のやりたい音楽に自信を持っていたし、どんな方向へ行くべきかもはっきりしてました。まず、僕等はデモ・テープを作って、いろんなレコード会社へ持っていきました。僕等に最もふさわしく一番いいレコード会社を求めていたからなんです。だから僕等はいい加減で妥協することだけは絶対にしませんでした。

Q:デモ・テープを作ってから、ファースト・アルバムを出すまでどの位時間がかかりましたか?

ロジャー:すごくかかりました。約2年間もです。そのときはレコード会社がまだリリースする時期ではないと考えて、いい時期が来るまで待っていたんです。

Q:あなた達のサウンドは非常にイギリス的で、ツェッペリンやイエスの影響が感じられますが…

フレディ:僕等はそんなグループを真似ようと思ったことはないですネ。個人的にはツェッペリンは好きですが、最近のイエスはあまりいただけないですネ。きっと僕等のファースト・アルバムが出たとき、他のグループと比較されたからそんな風に思われたかもしれません。でも、今では僕等のサウンドはすでに確立されているから、ほかのグループがクイーンのサウンドに似てるって言われるようになりましたよ。

Q:今日、ブライアンがいませんが、まだ病気で入院しているんですか?

ディーコン:いいえ、もう退院しましたよ。今、自宅で正しい食事を取りながら静養しているので、あと2週間くらいしたら完全に元気を取り戻すハズです。

Q:セカンド・アルバム「クイーンII」はブラック・サイドとホワイト・サイドに分かれていますが、何か特別な意味でもあるのですか?

フレディ:そんな深い意味はないんです。レコーディングのとき、ふとしたことで思い付いたことなんです。このアルバムの曲の中で僕は”March of the Black Queen”という曲を書いたんです。そこから、アイディアが生まれたという訳です。そしてブラック・サイドには黒の、ホワイト・サイドには白のムードが反映していて、白は明るいムード、黒は多少暗いイメージで悪魔的フィーリングを持ってます。僕等はステージでは白と黒の洋服を着ているから、とてもいいコントラストになりますネ。

Q:ニュー・アルバムについて教えて下さい。

ディーコン:3枚目のアルバムは7、8、9月を通してずっとレコーディングに費やすつもりです。9月の末からアメリカン・ツアーにでかけるので、それまでに終わらせるつもりです。プロデュースは僕等とロイ・ベイカーが共同で担当します。

Q:使用している楽器のメーカー、P.A.システムについて教えて下さい。

ディーコン:ロジャーはラディッグ・ドラムス、ブライアンは手製のギターとVox A.C.30アンプ、僕はフェンダー・プレシジョン・ベースとアコースティック・アンプ、P.A.はツアーのときたいてい借ります。

Q:来年日本に来るのを楽しみにしていますよ。ありがとうございました。

(木島章子 記)

ミュージックライフに載った初のインタビュー記事ではないだろうか。まだ各メンバーの性格を把握していない分、訳がとても礼儀正しい(笑)。そしてジョンがよく喋っている。こんなに喋っているのになぜディーコン・ジョンなんだろう。


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