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John Deacon On Queen's "Somebody To Love"

Article By Brian Fox (from Bass Player 9 Mar 09)

クイーンが素晴らしいのには多くの理由がある――豊富なハーモニー、壮大な曲構成、魅力的な音色――だが彼らを最良たらしめているのは、様式の幅広さである。バラードを徹底して細分化してから元に戻すことで、このバンドはひとつの曲の中で軽々と限界を超えてきた。それは他のバンドなら全キャリアにおいて成し遂げるか否かなことだ。1976年の「愛にすべてを」で、フレディ・マーキュリー、ブライアン・メイ、ジョン・ディーコン、そしてロジャー・テイラーは、ゴスペル・ミュージックの精神を取り入れながら、クイーンがロックと同程度にハードにスウィングできることを証明した。この素晴らしい8分の12拍子の曲に、ジョン・ディーコンの大きな自信に裏打ちされたベースが詰まっているのが分かるだろう。

ギタリスト、ブライアン・メイによれば、ディーコンはバンドに最適の人材だったらしい。「何人ものベース・プレイヤーとやってみて、ジョンでぴたっと決まったんだ」 メイは1971年のオーディションの模様をGuitar Player誌で語っている。「素晴らしく趣味の良いベースでね。これまでに色々な凄いベース・プレイヤーと仕事をしたことがあるけど、ジョンほど叙情的な弾き方をする者はいなかった。みんな彼の本当の良さを理解していないと思うんだ」

1997年に引退したディーコンだが、彼が70年代に遺した曲の数々は、趣味の良い美メロのロックとして高い水準を保っている。ジョンになりきりたければ、プレイの前にフィットネスマシンを起動させてウォーミングアップしてみよう。 その地響きに身をゆだね、スピリットを感じればいい!

ディーキーな小ネタ
クイーンのしっかり者、ジョン・ディーコン。ツアーやレコーディングをしていないとき、もしくはその最中でも、ディーコンは半導体アンプをこしらえた。2007年、ブライアン・メイは、Guitar Player誌でマルチ・トラッキングについて語った時、ディーコン製のディーキー・アンプをベタ褒めした。「金管楽器や弦楽器みたいな音が出るんだよね。(VOXの)AC30のは、……ギターの音がするんだけど」

聞くならここ
「華麗なるレース」(EMI、1976年)収録。ロイ・トーマス・ベーカーとの共同プロデュースの後、バンドは単独でこのアルバムをプロデュースした。「愛にすべてを」は同アルバムからの初シングルだ。ディーコンは彼の2本のお気に入りフェンダー・プレシジョン・ベースのうちの1本を使用したようである(のちに彼はミュージック・マン・スティングレイを好むようになる)。

お次は
「愛にすべてを」「キラー・クイーン」などで手慣らししたのなら、「オペラ座の夜」の素晴らしいポップナンバー、「マイ・ベスト・フレンド」でディーコンの美メロを研究しよう。

クールなベースライン・ベスト5
1.実にイケてる、ずんぐりしたプレべ音。彼のファット・ボトムなベースが高音域のボーカルとギターとのバランスをとっている。
2.音運びが神がかり的。12分の8拍子でのスウィングはだらだらしがちだが、ジョンはくっきりとした音を出し、休むところではしっかり休みながら、リズムを維持している。
3.27〜29小節でのスライドがとてつもない。1オクターブのスライドは全ネックに渡っている。スムーズにスライドするためには、各8音を2つか4つにわけて弾いてみよう。 正確にフレット・アームをスライドさせなければならないよ。それからスライドをぼかすこと。
4.30小節の減音の動きがススんでいる。ディミニッシュ・コードでびびってつまづいてしまうベーシストもいるが、ディーコンはアルペジオの出発点のように平気で使っている。
5.重みのある45〜46小節のハンマリング・オン。ディーコンらしさがここにも表れている。スライド奏法、アルペジオ、ハンマリング・オン――各小節で彼は慎重かつ最大限効果的にこれらを使うのだ。

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