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Noddy Language(頷きランゲージ)

(Noddy=まぬけ、の意味も。)

"KICKS" Jun 7 '82
クイーンへのインタビューのポイントは? デイヴ・リマーいわく、「よく分かんないなあ」。

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我々はリーズのドラゴナーラ・ホテルのダンディ・ルームで待っていた。4階下では、サイン帳を握り締めた数人のクイーン・ファンが期待に胸を膨らませて群がっている。この部屋にはだだっぴろい会議机があるきりで、吸い取り紙やグラスなど、すべてがしかるべき場所に並んでいる。気の滅入る仕事についての気の滅入るインタビューを、ほのかに思い出させるものだ。

クイーンのベース・プレイヤー、ジョン・ディーコンが入ってきた時、私は立ち上がって手を差し出し、こう言わずにはおれなかった。

「こんばんわ。ミスター・ディーコン。なんだって貴方はご自分がこの役目にふさわしいとお考えで?」

ディーコンはナーヴァスな笑みを浮かべ、ボディ・ガードと視線を交わした。ボディ・ガード ― 後に我々は、彼がワリー(Wally =うすのろ)という名だと知ることになる ― は無表情で見返した後、ぎこちない足取りで部屋の隅に腰を下ろした。なぜ彼はボディ・ガードを連れて来たんだ? 我々は話をしたいだけなのに。

まあ、実をいえば、我々は、あまり乗り気ではなかった。リーズに着き、クイーンがエルランド・ロード・フットボール場で3万人のヘッド・バンガーたちの前で自分達の才能をこれでもかとひけらかすのを見ようという時、我々はクイーンのパブリシストに言われたのだ。「インタビューに応じよう」と。

何のインタビュー?

「いいかい、さっき彼にほのめかしておいたから。今やらなければ駄目だ」

仕方ない、気晴らしにやってみるか。1、2杯引っかけながら、質問をささっとでっち上げる。「彼は仲間内のブレインさ」パブリシストの長が知らせてくれた。「正真正銘、ブレインなんだ」

私は今、彼らを束ねるその「ブレイン」と向き合っている。ディーコン、30代。短い黒髪、トレーナー着用。街では2度目を留めることはないだろう。数時間後には、あの3万人の人々が彼のあらゆる動きにメロメロになるとしても、だ。

ディーコンは静かで温和な男だと分かった ― 九分どおりシャイだ ― 穏やかな口調で、なんでもないことをとりとめもなく話すか、肩を竦めて私の質問の大半に「よく分かんないなあ」ともぐもぐ呟くかどちらかの。

「すごくいい経験だったよ」これは彼のお気に入りの表現の一つだと判明した。南アメリカ・ツアーについて言うべきことはこれだけらしい。また、この6年で初めてクイーンが「トップ・オブ・ザ・ポップス」に出演したことについても同様だ。

桁外れの成功を収めて、まだ彼等に野心は残っているのだろうか?

「一人ずつ、バンドを越えたものをね」

それなら、貴方のは?

「よく分かんないなあ…バンドの外で、何かやることを見つける、かな」

しかしながらジョンは、たとえばドラム・マシンのような、「最近の新しいものを試してみること」に興味を持っている。

彼はどのくらい財産を有しているのだろう?

「よく分かんないなあ…すごく沢山、かな」

『ボディ・ランゲージ』や『地獄へ道づれ』など、今や彼等の作品はどんどんディスコチックになってきているが、それでもクイーンをロック・バンドと見なしていくのだろうか?

「よく分かんないなあ…ツアーに関しては、そうだと思うけど」 彼は近頃の自分達の曲の多くが「ちょっぴり軽めとか、その他なんでもあり」なのを憂えているようだ。

何をしている時が一番楽しい?

「よく分かんないなあ」

ツアーかスタジオ・ワークか、決めかねているらしい。もっと一般的なことを聞いたつもりだったのだが、まあいいだろう。

この手のことはジャーナリストを欲求不満にさせる。しかしもうすぐ終わりだ。さあ、超大型の質問にいくぞ。用意はいいかな?

クイーンはここ数年、大規模で豪華絢爛なコンサートをしているせいで、オーディエンスとの交流がほとんどなく、周到に管理されたレスポンスだけを受けているように思えるのだが、いやしくも彼等は、若者達の考えや近頃の懸念を理解してきたと思っているのだろうか?

「よく分かんないなあ…たぶん、違うと思うよ」

ブライアン・メイとフレディ・マーキュリーばかりが脚光を浴びることにうんざりしているのではないか、私はディーコンに尋ねるつもりでいた。しかし最後にはどうでも良くなった ― 答えはもう分かりきっている。


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