:: BACK ::

John's Royal Family -- ジョンのロイヤル・ファミリー

Part Three Of A Jackie Exclusive On Queen - John Deacon.
"Jackie" April 10, '76
Click for a bigger image

どういうわけだか、ベース・プレイヤーはグループ一おとなしいメンバーであることが多くて、ジョン・ディーコンの場合もまさにそう。クイーンのダーク・ホースは、知ろうとするとかなり骨の折れる人物です。

グループの他のメンバーが語り草にしている話がひとつ。ジョンのことをとても良く物語っています。それは第2作「クイーンII」のレコーディングに精を出していたときのこと、ジョンはいきなり「2〜3時間留守するよ」と告げてスタジオを出て行ってしまったのです。

残されたメンバーは作業を続けながら、ジョンの突然の退出にムッとしましたが、一体何をしに行ったんだろう?と好奇心いっぱいで推測しあいました。午後遅く戻ってきたジョンに問いただしてみると、なんと彼は試験を受けにいっていたんです!

数ヵ月して「クイーンII」がリリースされるころには、ジョンはアルバムの成功に貢献したのはもちろん、卒業試験も見事クリア、電子工学の名誉学位まで取得していたというわけです!

ジョンのキャラクターをうまく言い表しているエピソードですよね。たぶん私たちが最初に思い描くよりもはるかに頭の回転が早い人です。☆(最初に思い描く、頭の回転が遅そうなイメージというのは、たとえば上のような写真の彼なんですかね) 他人から見たら無愛想で少し皮肉屋なところがある彼ですが、深く知り合うにつれてそれは主に内気なせいだと分かることでしょう。

「僕はグループ一おとなしいメンバーだと思うよ」 ジョンは言います。「一番地味なんだよね、とにかく」

オフ時の衣服からもそれはうかがえます。

他のメンバーはかなり独特ですから、街で出会ったら絶対振り向いちゃいますもんね!

でもジョンなら、たぶん気づきさえしないかも! たいてい、古びたブルーのチャック式カーディガンに身を包んでうろうろしている彼。ステージ前にドレッシングルームで、自分の髪に時々絶望的なまなざしを送る程度です。

唯一の既婚者であるジョンは、妻のヴェロニカ、坊やのロバートが住む家でのんびり過ごすくらい幸せなことはないみたいです。 ヴェロニカは教師を目指していた女性で、ジョンとはそれぞれ大学時代に知り合ったそうです。

ロバートは9ヶ月で、ジョンによると素晴らしく良い子なんだとか。彼らが一緒にいるところを見た人は皆知ってますが、ジョン自身、とても子供思いのパパなんですよ!

「もう1〜2回はコンサートに来てるんだよ、あの子」 とジョン。「バックステージにいるのが好きみたいだね。その点では僕にそっくりさ!」

ジョンとヴェロニカ、ロバートの快適な住処はロンドン西部にあります。

「最初はその住宅の1フラットだけを持ってたんだけど、今では丸ごと占拠しちゃって、自分で少々改良を加えたんだ」

技術屋であるジョンは家をいじくりまわすのが大好き。いつも何かこまごました小物を作ったり、元々あるものを組み立てなおしたりしているんです! テレビの前に座ったら、数分ごとにチャンネルを変えたりカラーやチューニングを調整したりせずにはおれないジョンのことは、グループ内で笑い話になっているくらいです。 ☆(そんなちょこまか忙しい人だったのか)

「いじくり回せるノブやおもちゃに出来るボタンがたんまりありさえしたら、ジョンはハッピーなんだよ!」笑いながらブライアン・メイはそう言っていました。

ロジャー・テイラー同様、ジョンも車好きで、二人して車を弄ったりドライヴしたりしています。昨年そろってブランズハッチ・オールスター・レースに参加し、喜ばしいことに、ジョンが1位、ロジャーが2位になったんですよ!☆(初耳でした)

「でも僕のマイ・カーはそんな良いもんじゃないけどね」 とジョン。 「もうずいぶん長いこと乗っている古いローバーなんだ。でも調子はまだかなり良いよ。なんてったって、自分でエンジンを高性能にしたんだから!」

ジョンは細部にわたって鋭い目を持っていますが、フレディやブライアンとは違って、芸術的な分野に関心はありません。グループの財政面に気を配り、ツアーに出るとサウンド・システムに延々とこだわり続けています。また、彼が工夫して編み出したモニター・システムは、欧州一高性能だとの評判も高いのです。

今日ではもちろん、バンドには熟練のローディー達がいて器材の世話をしてくれていますが、ビッグになる前はしばしばジョンがドライバー片手に不具合を直していたということです!

でも、ジョンのパーソナリティで一番びっくりするのは恐らく、そのユーモアのセンスではないでしょうか。最初はかなり真面目で堅苦しくみえるのに、話し始めて半分もすると、突然おかしな楽屋落ちのダジャレで大ウケしたりするんです。

「僕のユーモアのセンスって、ちょっと変なのかもしれないけどさ」 とジョンは認めています。 「誰も可笑しいとは思わないようなことで笑ったりするんだよね。どんなことでも笑えてくるんだ。たとえば悪ふざけが大好きだし、人を付けていって、カメラで不意打ちを食わせるのも好きなんだ!」☆(ちょっと変、どころではないんじゃないかと)

しかしなんといってもジョンの一番の楽しみは、坊やと遊ぶこと。人生に対する姿勢が伺えます。ツアーに出て新たな街を訪れ、毎晩新しいオーディエンスに向けて演奏することを楽しんではいます。でも彼はいかなるときも、我が家に帰るのが待ち遠しくてならないのです。世界中でもっとも愛する二人が待つ家に戻るのが。


:: BACK ::