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ビグルスとシャイなベーシストの巻

"The No.1" Jun 7 '86

スチュアート・'ジンジャー'・ハズバンド(注:ジンジャーとはシリーズに出て来る
ビグルスの仲間の一人) が古兵ジョン・ディーコンとタッグを組んだ。
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「おい、アルジー(注:同じくビグルスの仲間の一人)よ、我輩は耄碌なんぞしとらんだろ、ええ?」
女王陛下(クイーン)と国のため、ジョン・ディーコンは今日もゆく。

第一次世界大戦の飛行機乗りを気取った、この変わり者は誰なんだ? なんとまあ、クイーンのカリスマ・ベース弾き、ジョン・ディーコンじゃないか!

なら何故こんな目をぱちくりしたくなるようなバカバカしい出で立ちを? どっかキレちゃって、とうとう違う世界にいっちまったとか? 答えはノー。新作映画「ビグルス」のメイン・テーマを担当してるからってわけ。映画は第一次大戦の架空のエース・パイロットの冒険物がベースになっている。ドイツ人を数え切れないくらい撃ち落として、なんといまだに平気な顔でいる奴の話さ!

ジョンの曲は'No Turning Back'といって、ジ・イモータルズという新しいバンドでの演奏だ(このためだけに結成されたんだそうだよ、ファンの皆!)。付け加えるとしたら、シンガーの名前はレニー・ザカテックだってことかな。

「これは全くの単発モノなんだ」 袋のピーナッツをポリポリ食べながら、ジョンは説明してくれた。「クイーンが仲間割れしかけてるとか、そういうんじゃないからね」 そうかい。それじゃ、この映画についてどう思う?

なっがーい、ためらい。
「う〜ん…あ〜…え〜っと…そうだねえ、イカす、っていう映画じゃないな。問題なのは、今風にしようとして、ビグルスを時の裂け目に落っことし、20世紀に来させたことだ。ちょっと間抜けっぽいよね。だって、ビグルスを演じる奴は、可哀想に映画中ずっとうろたえたままなんだよ」

もう一本、ジョンが他のクイーンのメンバーと一緒に関わっている新作映画がある。数百万ドル規模の「ハイランダー」。監督はデュラン・デュランの「アリーナ」でお馴染みのラッセル・マルケイ、謎の不死身の将軍たちがお互いの首を狩り合う映画だ。こっちはどうなんだい?

「う〜〜ん…(またしばらくためらうジョン)…こっちもサイコーってわけじゃないね。確かに面白そうにみえるけど…あ〜…台本がホットとはいい難い。残念だね、ほんと…」

おやおや! じゃあ、ヤバい映画はおいとこう。最近のクイーンはどうなんだい?夏にウェンブリー・スタジアムで行われる、どでかいコンサートのことを教えてくれるかな?

「あのさ…ばらしちゃうわけにはいかないんだよ、あんまり…もっとも、どんな風になるのか僕自身よく分かってないんだけどね! でも、スリルとスペクタクルに溢れたものになるだろうな。間違いないよ、こっちは!」

オーケイ、それでは…他の3人を一言で説明してみてよ。

ええっ…難しすぎるよ…一言で、かい? フレディはね、ひっどい癇癪持ちなんだ…あるときなんか、プッツンしちゃって、すごく大きな飾り鏡を誰かの頭めがけてブン投げてたよ。ブライアンはとても物静かで、優れた"いじり屋"さ、まったく…。で、ロジャーは遊びとジョークが大好き」

じゃあ、自分自身はどう?

「そうだね…おっそろしくシャイでナーバス。ライヴ・エイドの時にね、あんまりナーバスになりすぎちゃって、ダイアナ妃に会えなかったんだ。で、ローディーのスパイダーが、僕の代わりに彼女に会って…握手やなんかも、全部やっちゃった!今じゃ彼、世界中で一番有名なローディーだよ。ちょうど今、ソロで世界ツアーに出てる頃さ!」

サン・シティ(南アフリカの、白人だけの超一流エンターテインメント施設)で演奏したことについて非難されて、どう思った?

「かなりムッときたね…特に、あの'サン・シティなんかで演奏するもんか(I Ain't Gonna Play Sun City)'って名のレコードとか。ああいうのってさ、南アやアパルトヘイトへの非難というより、そこへ行ったアーティスト達個人への攻撃になっちゃってるじゃない。

僕は、本当いうと、アパルトヘイトがどんなものなのかきちんと理解できてなかった。それってかなりニブイとは思うけど、もっと漠然とした人種差別の類かと思っていたんだ。浜辺でとか、バスに乗ったときとかの。あんなに厳しいものだったなんて、知らなかったよ」

それでは、と。クイーンは夏に新作を出したあと、極上の長い休みを取るそうだね。君は何をするんだい、ジョン?

「そうはいってもねえ…すっごくものぐさなんだ、僕。計画は沢山立てるかもしれないけど、その後は、日がな一日ぼーっと何もしないで過ごしちゃうんだろうなあ」

最後に。君はミリオネア?

「厳密にいうと、そうだよ…たぶん、僕達4人ともね。でも、昔からずっとケチだって言われてきたし、ミリオネアだからといってライフスタイルが変わることはないね。素晴らしい家、愛する妻に子供たち…それだけあればもう十分さ!」


やはり単独インタビューは危険きわまりない。率直でいいんだけども。


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